2022.03.07
ENEOSの現場スタッフから車のメンテンスについて学ぶ企画「プロから学ぶ車のメンテナンス術」。今回のテーマはエアコンフィルターです。 意外と知られていないことですが、エアコンフィルターは消耗品で定期的な交換が必要です。そこで、今回はENEOS 上尾SSの鈴木隼人さんにエアコンフィルターに関する疑問や交換方法を聞いてきました。交換時に押さえておきたいポイントについてもご紹介します。
2022.03.07
エアコンフィルターとは、どんな役割を果たすものなのでしょうか? ENEOS上尾SSの鈴木さんによるとエアコンフィルターの存在や交換の必要性を認識していない方が実は多いとのこと。まずは、エアコンフィルターの役割や交換時のよくある質問とその回答をご紹介します。
エアコンフィルターとは、外気に含まれるチリやホコリ、花粉などの異物をキャッチするためのパーツです。多くの車では、助手席の足回りに設置されています。キャッチした異物は車を利用する度に蓄積し、汚れとなってフィルターに固着してしまいます。また、フィルターは湿気が多く、温度差が生じるためカビが発生しやすく、定期的な交換が必要となります。
使用済みのエアコンフィルター
エアコンフィルターは定期的な交換が必要です。ここでは、エアコンフィルター交換に関するよくある質問と回答をご紹介します。
Q-1:汚れを放置しておくとどうなる?
Q-2:いつ交換すれば良い?
Q-3:掃除しても再利用できない?
Q-4:新しいエアコンフィルターを買うときの注意点は?
Q-5:交換作業はプロに依頼したほうが良い?
A.エアコンの効きが悪くなる、異臭がする、といった車内環境に悪影響を及ぼす場合があります。エアコンの送風口から出る空気はエアコンフィルターを通った空気です。冷房・暖房使用時には、汚れたフィルターを通過した空気が顔や手に当たるため、衛生的には避けたい状況と言えるでしょう。
A.一般的に交換の目安は、使用期間1年、または走行距離1万km。また、カビ臭がした場合は目安に満たない状況でも一度フィルターの状態を確認してみてください。エアコンフィルターで増殖したカビが異臭の原因となっている可能性があるためです。「(3)古いエアコンフィルターを取り出す」を参考にして、確認してみましょう。
A.エアコンフィルターを掃除して、再利用することはおすすめできません。一度付着した汚れやカビは洗剤で洗っても新品のようには戻らないためです。交換時期の目安ごとに新品のフィルターに交換するのが良いでしょう。
A.車の型式に合ったエアコンフィルターを選びましょう。エアコンフィルターは、車の型式ごとにぴったりと入る大きさや形状が異なり、それぞれの型式に適合した種類があるためです。車の型式は車検証から確認できます。車とフィルターの型式を突き合わせてから購入しましょう。
A.複雑な作業がないため、慣れない方でも自分で簡単に交換できます。交換の手順は次章の「2.エアコンフィルター交換の手順とポイント」でご紹介しています。作業に不安な方はガソリンスタンドやディーラーなどのスタッフに相談してみましょう。
エアコンフィルターの役割やよくある質問についてご紹介してきました。ここからは、実際の交換のやり方や作業時のポイントを解説します。
エアコンフィルターの交換作業は大きく6つの手順に分けられます。ここでは、よくあるタイプの交換手順を各工程の写真で見ていきましょう。
ちなみに、車の種類によっては交換方法が異なる場合があります。車の説明書を読み、正しいエアコンフィルターの位置や交換方法を確認してから作業に取りかかってください。なお、交換手順の説明で登場する「グローブボックス」とは、助手席の前に設置されていて、車検証や小物などを収納する開閉式の入れ物を指します。
▼エアコンフィルター交換の6つの手順
(1)グローブボックスを取り外す
(2)エアコンフィルターのカバーを取り外す
(3)古いエアコンフィルターを取り出す
(4)新しいエアコンフィルターを差し込む
(5)エアコンフィルターのカバーを取り付ける
(6)グローブボックスを取り付ける
(1)グローブボックスを取り外す
まずはグローブボックスを取り外します。グローブボックスの取り外しや装着のコツについては、後半「フィルター交換時のポイント3つ」の「(1)グローブボックスを慎重に取り外す」で詳しく説明します。
(2)エアコンフィルターのカバーを取り外す
グローブボックスを取り外すとエアコンフィルターの格納室が見えます。手前にあるカバーを取り外しましょう。
(3)古いエアコンフィルターを取り出す
カバーを取り外すとエアコンフィルターを取り出せます。上下をつまんで、手前にゆっくり引き出しましょう。
(4)新しいエアコンフィルターを差し込む
古いエアコンフィルターを取り外したら、新しいフィルターを差し込みます。このとき向きに注意する必要があります。フィルターの向きの注意点については、この後の「フィルター交換時のポイント3つ」の「(2)フィルターの向きを合わせて差し込む」で詳しく説明します。
(5)エアコンフィルターのカバーを取り付ける
新しいエアコンフィルターを差し込んだら、(2)で取り外したカバーを装着しましょう。
(6)グローブボックスを取り付ける
カバーを装着したら、(1)で取り外したグローブボックスを装着しましょう。
エアコンフィルターの交換作業では、注意しておきたいポイントが3点あります。失敗しない、または次回の交換に備えるために以下のポイントを押さえておきましょう。
グローブボックスの取り外しは、左右のツメが破損しないよう慎重に行いましょう。取り外しの手順は以下の通りです。
まずは、グローブボックスを開けましょう。閉まったまま無理に取り外そうとすると、ツメが破損してしまいます。グローブボックスを完全に開けたら、軸の部分にツメが見えてきます。その左右のツメを片側ずつ内側に押し込み、慎重にツメを外しましょう。このとき、中に入っている物があれば全て出しておいてください。
内側に押し込みツメを外す(左側)
ツメを外した後のグローブボックス(左側)
車の種類によっては、グローブボックスの取り外し方が上記と異なる場合があります。作業前に、車の説明書やインターネットから自車のグローブボックスの取り外し方を調べておくと良いでしょう。
なお、エアコンフィルターの交換後にグローブボックスを装着するときは、ツメを内側に押した状態で元の位置にはめ込みます。
新しいエアコンフィルターを差し込むときは向きをしっかり確認しましょう。フィルターには表と裏の二つの面があり、車に応じて適切な向きが決まっています。フィルターに記載されている矢印マークを確認してから差し込んでください。向きが逆になっていると、フィルター本来の効果が発揮できない可能性があります。
新旧フィルター | イメージ |
---|---|
古いフィルター | |
新しいフィルター |
エアコンフィルターの交換が完了したら、その時点の日付と走行距離をシールに記載しておき、車内に貼っておきましょう。これは、次回のエアコンフィルターの交換目安を把握しておくためです。
エアコンフィルター交換のよくある失敗には、適切な交換時期が分からなくなってしまうことが挙げられます。フィルターにシールも同梱されている場合は活用し、ない場合はテプラなどで作成して、空気圧のステッカー近くに貼っておくと、把握しやすくて良いでしょう。
エアコンフィルターを交換するときには、助手席の足回りも掃除しておくと良いでしょう。助手席の足回りは、内気循環による空気の吸い込み口があるためです。車内の空気の清潔感を保つ一環として、足回りの掃除機がけやマットのホコリ落としも併せてやっておきたい作業の一つです。
足回りの掃除機がけ | マットのホコリ落とし |
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ちなみに内気循環とは、冷房や暖房を効かせるときに設定する機能で、外気を取り入れずに車内の空気を循環させる仕組みを指します。
エアコンフィルターの役割は、外気のチリやホコリ、花粉などの異物をキャッチすることです。そのため、日々汚れが蓄積していき、交換が必要である消耗品であることを認識しておきましょう。
交換作業自体は簡単ですので、作業のポイントさえ押さえておけば初めての方でも自分で実施できます。もし困ったことがあればお近くのSSにご相談してはいかがでしょうか。
【上尾SS 鈴木隼人さん】
※ENEOSジェネレーションズのSSで働くスタッフの仕事内容はこちらでも詳しく紹介→「カーライフビジネスを知る」