プロが伝授するENEOSジェネレーションズの技術

PROFESSIONAL TECHNIQUE

おうちで本格コーヒー!プロが伝授するおいしいコーヒーの選び方・淹れ方

2022.03.07

ENEOSの現場スタッフからプロならではの技術について学ぶ本企画。今回は、ドトールコーヒーショップを併設するENEOS春日公園SSで勤務し、コーヒーインターンの資格を持つ北紗瑛さんにお話を聞いてきました。お客様の好みに合ったコーヒーを提案するためのプロのアプローチを参考に、自分の好みが分からない方でもぴったりのコーヒーを見つけられる方法をご紹介。また、コーヒーショップで手軽に購入できるコーヒー豆から淹れる、ハンドドリップの始め方や楽しみ方も解説します!

2022.03.07

1.自分に合ったコーヒーの選び方とは?

自分に合ったコーヒーに出会うためにはどうすれば良いのでしょうか? まずは、好みのコーヒーを選ぶ方法を2つご紹介します。

 

バランスが取れたコーヒーを基準にして好みを探る

自分で選びたい場合は、味のバランスが取れたコーヒーを基準として持っておき、そこから好みの味を探っていくのがおすすめです。コーヒーの味は大きく、(1)酸味(2)甘み(3)苦味の3つで構成されます。このバランスが取れたコーヒーの味を基準として持っておくことで、「もう少し酸味が強いほうが好み」「もう少し甘みを抑えたい」といった自分の好みを探りやすくなります。

 

「まずは味の基準を持つことが大事」と言う北さん

「まずは味の基準を持つことが大事」と言う北さん

 

例えば、ドトールコーヒーショップ(以下、ドトール)で販売されている豆で言えば、味のバランスが最も取れたコーヒー豆は「マイルドブレンドコーヒー」です。マイルドブレンドコーヒーの味を基準として、自分はそれよりもどういった味が好みなのかを考えみます。なお、ドトールで販売されているコーヒー豆には、以下のように甘み・酸味・苦みのバランスが記載されているので、選ぶときにはこちらをぜひ参考にしてみてください。

 

▼マイルドブレンドコーヒーの甘み・酸味・苦みのバランス

マイルドブレンドコーヒー

 

店舗のスタッフに相談してみる

コーヒーの好みについて、自分で探るのが難しい、自信がない、といった場合はコーヒーショップのスタッフに相談してみると良いでしょう。

 

相談する際は、コーヒーの好みについて、「さっぱりしたものが好き」「普段は砂糖入りを好んで飲む」といったように、まずは自分が思う感覚や普段の飲み方をそのまま言葉にしてしまって大丈夫です。下記は、ドトールでお客様から相談を受けたときにスタッフがおすすめを提案したケースの一例です。

 

▼スタッフとの相談のやり取り(一例)

お客様:自分に合ったコーヒー豆を選びたいのですが、どう選べば良いでしょうか?

 

スタッフ:普段はどのようなコーヒーをお飲みですか?

 

お客様:こだわりはないのですが、缶コーヒーを飲むときはミルクや砂糖が入ったものをよく選んでいる気がします

 

スタッフ:まずは味の基準となるマイルドブレンドコーヒーを試飲されてみてはいかがでしょうか?

 

お客様:(試飲後)マイルドブレンドコーヒーは私にはちょっとさっぱりし過ぎている気がしました

 

スタッフ:それでは、ミルクや砂糖にも負けずにコーヒーの味を楽しめる煎りが深いハワイコナブレンドが良いかもしれません

 

このようにミルクの甘みを楽しみたい場合は、煎りが深めのしっかりと味があるコーヒーのほうが合うとされています。ほかにも、コーヒーの苦みが抑え目のものが好きな方は、ブルーマウンテンやキリマンジャロといったストレート豆(豆をブレンドしていないタイプ)に砂糖を入れるとすっきりとした飲み口でさわやかな後味で召し上がれます。ドトールではお客様にコーヒー豆を提案する際に、コーヒーテイストマップをご覧いただきながら説明しています。

 

コーヒー豆の選び方について提案中

コーヒー豆の選び方について提案中

 

ENEOSジェネレーションズのドトール併設店では、こういったコーヒーに関する知識を学ぶ研修制度と知識・スキルに応じた資格制度を独自に設けています。今回お話を伺った北さんは、コーヒーに関する基礎的な知識を持ち、お客様におすすめのコーヒー豆を提案できるコーヒーインターンの資格を持っています。ちなみに、コーヒーインターンの上級資格として、お客様のニーズに合ったコーヒーの提案に加えて、コーヒーの楽しみ方までおすすめできるコーヒーアドバイザーという資格も存在します。

 

【コラム】眠気覚ましのコーヒーはどれがおすすめ?

基本的にどの種類のコーヒー豆にも一定のカフェインが含まれており、眠気覚ましの効果が期待できます。また、ホットで飲むことにより眠気覚ましの効果が出るタイミングを早めることが可能です。一方で、眠気覚ましの効果が高いと言えるコーヒーは実はありません。同様に、苦いコーヒーほどカフェインの量が多くなる、といったこともありません。

 

2.ハンドドリップの基本の淹れ方と楽しみ方

ここまでは自分の好みに合ったコーヒーの選び方についてご紹介してきました。次に、自分に合ったコーヒー豆をハンドドリップでおいしく淹れる方法について解説します。

 

ハンドドリップで使うアイテム

ハンドドリップでコーヒーを淹れるためには、まず下記の(1)~(6)のアイテムを用意しましょう。ハンドドリップで淹れるときは、コーヒー豆を挽いておく必要があります。挽く道具を持っていない場合は、コーヒー豆を購入するときに店舗で挽いてもらうと良いでしょう。

 

なお、ENEOSジェネレーションズのドトール併設店では、試飲の際にハリオ製のドリッパーを使用しており、この記事でもハリオ製ドリッパーで抽出する場合のアイテム、淹れ方をご紹介します。

 

アイテム名 写真 用途
(1)ドリッパー
  (ハリオ製)
ドリッパー(ハリオ製)

コーヒーを抽出する

(2)ペーパーフィルター ペーパーフィルター

抽出したコーヒーをこす

 

▼ポイント
ドリッパーの形状によりペーパーフィルターも使い分ける必要があり、ハリオ製の場合は「円錐型」を使用する

(3)サーバー サーバー

抽出したコーヒーを受ける

(4)ドリップポット ドリップポット

ドリッパーにお湯を注ぐ

 

▼ポイント
注ぎ口が細いほど、湯量を調整しやすく、抽出具合も調整しやすい

(5)
・コーヒー豆
・コーヒーキャニスター
(保存容器)
・計量スプーン
コーヒー豆、コーヒーキャニスター(保存容器)、計量スプーン

■コーヒー豆
コーヒーを抽出するもと。
挽いたものを使用する

 

■コーヒーキャニスター
コーヒー豆の劣化を防ぐ

 

■計量スプーン
杯数に応じてコーヒー豆の量を計る

(6)計量器 計量器

注湯量を計る

 

プロ直伝|ハンドリップの5つのステップ

ハリオ製のドリッパーを用いた場合、コーヒーの味の出方は抽出のやり方次第で大きく変わってきます。今回は、コーヒーの酸味、甘み、苦みがバランス良く抽出できる基本的なやり方を5つのステップに分けてご紹介します。

 

(1)用具を準備する

まずは、上記で挙げた用具を出しましょう。そして、サーバーの上にドリッパーを置き、ペーパーフィルターを下記写真のようにセットします。

 

ペーパーフィルターをドリッパーにセット

ペーパーフィルターをドリッパーにセット

 

ペーパーフィルターによっては、抽出したコーヒーに紙のにおいが移ってしまう場合があります。気になる場合は、下記写真のようにフィルター全体にお湯をかけ、においを取っておくと良いでしょう。

 

ペーパーフィルターに湯をかけてにおいをとる

ペーパーフィルターに湯をかけてにおいをとる

 

ここまで完了したら、いよいよコーヒー豆の粉を投入します。投入する量はコーヒー1杯分あたり12gです。飲みたい杯数に応じて、2杯分なら24g、3杯分なら36gといったように調整しましょう。なお、次のステップで注湯量を正確に計るために、ドリッパーセットを計量器の上に置いておき、コーヒー豆投入後にリセットしておきます。

 

コーヒー豆の粉を杯数分入れる

コーヒー豆の粉を杯数分入れる

 

(2)コーヒー豆を蒸らす

中心から渦巻き状に外に向かってお湯を注ぎ、コーヒー豆の粉を蒸らします。蒸らし工程での注湯量は、1杯分あたり15g(2杯分で30、3杯分で45g)です。慎重に注湯しつつ、計量器で注湯量をチェックしましょう。このとき、徐々に渦巻きを広げるとコーヒー豆の粉全体にお湯が行き渡り、きちんと蒸らすことができます。ただし、外側のフィルターにはあまりかからないよう注意してください。

 

ちなみに、新鮮な(焙煎から日が経っていない)コーヒー豆の場合はお湯をかけたときに炭酸ガスが発生し、下記写真のようにボコボコと膨らむことがあります。

 

蒸らし用に注湯

蒸らし用に注湯

 

(3)3回に分けて抽出する

蒸らし工程の注湯が完了したら、コーヒーを抽出するためにお湯を3回に分けて注ぎ入れます。コーヒーの味は、1回目の注湯で酸味、2回目の注湯で甘み、3回目の注湯で苦みが抽出されるため、注湯を3回に分けることで酸味、甘み、苦みがそれぞれバランス良く抽出できます。下記表は、これらの味を引き出すための最適な注湯量と注湯時間をまとめたものです。

 

最適な注湯量と注湯時間

 

コーヒー1杯分の場合は、1投目で50gを目指して注ぎ入れます。また、1投目の注湯のタイミングは、蒸らし工程の注湯完了後から15秒後が理想です。およそ10秒かけて注湯し、5秒休ませた後で2投目の注湯に入ります。同じように10秒かけて100gを目指して注湯し、5秒休ませた後で3投目の注湯に入ります。最後の3投目では、15秒かけて最終的に155gとなるようお湯の量をチェックしながら注湯します。2杯分の場合は1杯分の2倍のお湯、3杯分の場合は3倍のお湯をそれぞれ注湯してください。

 

蒸らし後、1投目の注湯

蒸らし後、1投目の注湯

 

また、お湯を注ぐときにもコツがあります。基本的に円を描くように注ぎ、1周にかける時間は約3秒。1投目のみ直径2cm程度に留めておき、2投目と3投目は直径3cm程度の円を描きます。なお、円の外側にできた土手にお湯をかけて崩してしまうと味のバランスが悪くなるため、土手を崩さぬよう慎重に注ぎ入れましょう。

 

最後の3投目の注湯が完了したら30秒ほど待ち、蒸らし工程の注湯完了から1分30秒経過を目処にドリッパーを外します。実はコーヒーの味は酸味、甘み、苦みの順で抽出された後、雑味や渋味も抽出されてしまいます。そのため、コーヒーの抽出が続いていても、思い切って取り外すことが重要です。

 

3投目終了後にドリッパーを取り外す

3投目終了後にドリッパーを取り外す

 

(4)サーバーを回してかき混ぜる

ドリッパーを外したら、抽出してサーバーに溜まったコーヒーを軽く回して、混ぜましょう。コーヒーの味は酸味、甘み、苦みの順で抽出されるため、サーバーの中で味の層のようなものができています。軽く回すことで、味の偏りをなくし均一にすることができます。

 

コーヒーの味を均一にするためにゆっくり回す

コーヒーの味を均一にするためにゆっくり回す

 

(5)カップに注ぐ

サーバー内のコーヒーの味を均一にしたら、カップに注いでいきます。ドリップする前にカップにお湯を入れてあたためておくと、コーヒーを注いだときに温度が下がりにくくおいしくいただけます。

 

おししいコーヒーの完成です

おししいコーヒーの完成です

 

ハンドドリップの楽しみ方|抽出具合をアレンジしてみる

ここでご紹介したドリップの5つの手順・方法は、ENEOSジェネレーションズのドトール併設店で決まっている基本的なやり方です。前述したように、コーヒーの味は酸味、甘み、苦みの順で抽出され、さらに注湯量や抽出時間によっても味の出方が異なります。ハンドドリップの基本の淹れ方に慣れてきた方は、自分好みの淹れ方を追求してみるのも楽しいと思いますので、ぜひ試してみてください。

 

3.まとめ

コーヒーを日常的に飲むものの、自分好みのコーヒーと既に出会っている方はそう多くないでしょう。まずは味のバランスが取れた豆で基準を把握し、そこから自分の好みを探っていくと、きっと合うものが見つかります。もちろん、コーヒーショップのスタッフに相談するのも一つの手です。

 

好みのコーヒー豆を見つけたら、ハンドドリップで召し上がってみるのもおすすめです。ドトールではさまざまなタイプの豆を提供しているので、気分によってぜひ色々試してみてください。豆選びや淹れ方についてお困りのことがあれば、ぜひスタッフまで気軽にご相談ください。

 

春日公園SSスタッフ

【春日公園SS 北紗瑛さん】

 

※ENEOSジェネレーションズのSSで働くスタッフの仕事内容はこちらでも詳しく紹介→「カーライフビジネスを知る