2022.03.07
ENEOSの現場スタッフから車のメンテンスについて学ぶ企画「プロから学ぶ車のメンテナンス術」。今回のテーマは水垢汚れです。ENEOS 花見川天戸SSの辻美香さんに、水垢汚れの特徴や落とし方について聞いてきました。水垢を放置することで受ける影響や水垢落としの手順、やりがちな失敗についてご紹介します! プロが実施している作業のポイントをまとめているので、ぜひチェックしてみください。
2022.03.07
洗車しても落ちない汚れはいったいどうすれば良いのでしょうか? ここでは、洗車で落ちない汚れの一つである水垢について、落とし方や汚れを放置することで受ける影響をご紹介します。
洗車後も残っているシミや黒ずみなどの汚れは、水垢である可能性があります。基本的に水垢は専用の洗剤を使って洗い落とす作業が必要です。ただし、軽い水垢汚れであれば、通常の洗車の中で落とすことができます。洗車前に水垢のような汚れを見つけたときは、まずはカーシャンプーで洗車し、様子を見てみましょう。
水垢の一例(ドアノブから垂れるように入っている黒い線)
水垢汚れを落としたほうが良い理由は、第一に気持ち良く乗れることです。さらに、水垢汚れを放置しておくとボディの塗装を傷める可能性があり、車の価値が下がってしまいます。それはすなわち売却価格が下がるとも言えます。そのため、水垢汚れを見つけたら早めに落とすことをおすすめします。
ちなみに、水垢が付きやすく、見えにくい部分にはドアノブやミラーの下などが挙げられます。見えにくい部分の水垢汚れは、気付かないうちにひどくなっている場合があります。こまめにチェックして、汚れが軽いうちに対処しておきたいところです。
洗車で落ちない水垢汚れは、専用の洗剤を使って適切な方法で作業する必要があります。ここでは、水垢落としの手順とやりがちな失敗について解説します。
水垢を落とすときに必要なアイテムは、手袋、水垢用洗剤、スポンジ、拭き上げ用のタオルの4点です。ただし、水垢を落とす前に洗車を行う必要があるので、この4点に加えてカーシャンプーも用意しておいてください。いずれもカー用品店で購入できます。
水垢用洗剤は種類によっては成分が強いものがあり、コーティングを剥がしてしまうことがあります。そのため、コーティング剤を塗布している場合は、洗剤選びに注意が必要です。カーシャンプーに水垢落としの成分が含まれているタイプは比較的成分が弱く、まずはこういったものから使って様子を見てみるのも良いでしょう。
拭き上げ用のタオルは、マイクロファイバークロスを使うと水滴をキャッチしやすくなります。マイクロファイバークロスとは、一般的なタオルよりも目が細かい布地です。ENEOSジェネレーションズのサービスステーション(SS)では基本的にマイクロファイバークロスを使って作業しています。
水垢落としの作業は、大きく以下の4つの手順に区分できます。(1)~(4)の手順ごとに作業の内容やポイントを見ていきましょう。(2)では、ENEOSジェネレーションズのスタッフが実践している裏技をご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
水垢落としの最初の作業は、車の表面に付いているチリや泥などの汚れをカーシャンプーで洗い落とすことです。いわゆる通常の洗車を先に行いましょう。洗車せずに始めると、ボディに付着しているゴミの上からスポンジでこすってしまい、きれいにするはずがかえって自分で傷を付けてしまう可能性があります。カーシャンプーを洗い流したら次の工程に移ります。
水垢用洗剤をスポンジに載せて、ボディに伸ばしていきます。この工程の目的は、洗剤を全体に伸ばし、洗剤の力で汚れを浮き上がらせることです。一定の方向にスポンジを動かすと漏れなく全体に行き渡らせることができます。なお、スポンジで強くこすっても水垢汚れは取れません。さらに言うと強くこすることはNGです。詳しくは、以降の「水垢落としでやりがちな失敗3つ」の「(1)水垢をこすって取り除こうとする」で解説しています。
水垢用洗剤を一定方向に伸ばしたら、その方向と直角の向きでもう一度スポンジを動かしていきます。例えば、横方向にスポンジを動かす場合、全体に洗剤を伸ばした後に縦方向にもう一度スポンジを動かす、といったイメージです。ENEOSジェネレーションズのスタッフは、この作業を「崩す」と呼び、汚れを落ちやすくするために取り入れています。
水垢用洗剤をボディ全体に馴染ませたら、洗剤の泡を水でしっかり洗い流していきます。洗車でカーシャンプーの泡を洗い流すときと同じ要領です。泡が残らないよう、全体的に水を掛けて洗い流しましょう。
水垢用洗剤の泡を流し切ったら、車の表面に付着している水滴を拭き上げ用タオルで拭き取っていきます。洗剤を伸ばすときと同様に、拭き上げ時も一定方向にタオルを動かすと拭き漏れを防ぎやすくなります。水滴を拭き上げたら、水垢落とし作業の完了です。
水垢落としの作業では、車に悪影響を及ぼすやってしまいがちな失敗があります。以下はその代表例である3つです。
せっかくのメンテナンスがかえって車を傷めることにもつながるので、作業前に押さえておきましょう。詳しくは以降でご紹介しています。
水垢落としを行うときにやりがちな失敗として、水垢の部分をこすって取り除こうとすることが挙げられます。車のボディはデリケートで、柔らかいスポンジを使っていても強くこすると傷が付いてしまいます。車の表面にそっとスポンジを置くようなイメージで、優しく拭いてあげましょう。
そもそも水垢は、強くこすれば取り除けるものではありません。洗剤を使っても取れない場合は、専用の用具を使って削り取る対応となります。無理して落とそうとせず、SSやディーラーなどで症状を見てもらいましょう。
水垢用洗剤を水で流すときに泡がまだ残っている、という失敗もよくあります。泡が残っていると、乾いてシミになってしまいます。全体的に洗い流したつもりであっても、車の下部や隙間部分、ドアノブなどの可動部に泡が残っていることがあるので、念のためチェックしておきましょう。
拭き上げが不十分で水滴を残したまま作業を終えてしまう、という失敗もよく見られます。残った水滴は、時間が経つと乾いて新たな水垢になってしまいます。せっかくの水垢落とし作業を無駄にしないよう、水滴をしっかりと拭き取りましょう。ドアノブの裏側などの隠れている部分は見落としがちです。
ちなみに、日差しが強い場所で実施する場合は、拭き上げ作業中に水滴が乾いていってしまうことがあります。望ましい環境としては、日差しが強くない日、または日陰が理想です。
洗車をしても落ちない汚れは水垢かもしれません。この場合、専用の洗剤を使って水垢を落とすのが一般的です。面倒と感じるかもしれませんが、手順はたったの4つです。キレイな車で気持ち良く乗車し、車の価値を維持するために、水垢を発見したら早めに対処するのが良いでしょう。
なお、水垢落としの作業を行っても汚れが取り除けない場合もあります。この場合は、メンテナンスサービスを扱っているSSやディーラーに症状を見てもらいましょう。
【花見川天戸SS 辻美香さん】
※ENEOSジェネレーションズのSSで働くスタッフの仕事内容はこちらでも詳しく紹介→「カーライフビジネスを知る」